『NANA』とか『るろ剣』とか『ワンピース』とか

メロマイさんのエントリ**
わりと漫画読みですけど、こういう読み方をしないし、アニヲタですけど製作側のことってよく知らんのでこういう見方をしないので、ふむふむふむと読みました。というより、最近気付いたんだけどわたしはフィクションと現実の境界をふらふらとさまよってはいるのですが、線引きというのはかなり自分の中で明確で、フィクションをきっちりと現実的な目で見ているんだと思う。つまりは表面的にしか見ずにフィクションのいいところだけ見て楽しんでいる、と。我ながらおめでたい濫読家です。エントリにて気になったところを。

NANA

ヤザワ先生の作品は天ない→ご近所→パラキスと読んでます。下弦の月も。NANAの初回あたりは好きだったけど、DQNな登場人物にまったく共感できず(特にあの主体性のない主人公が)脱落しています。

今の子たちのしんどさを理解して主観的に描きつつ、つまり若い子たちの真実を否定はしないけれど、未来の自分が振り返るという形で客観的な視点も示している、つまり、そこから抜けだせる可能性を示唆しているわけですね。めーちゃーめーちゃーやーさーしーいー!

ワンピ

わたしの少年漫画を読むようになったきっかけってほとんどアニメが窓口なんだよな・・・

あのマンガは"強さ"というのが精神力とイコールすぎるのが気持ち悪いのです。主要メンバーはさしたる理由もなく強すぎるでしょう(そしてもっとも弱い=人間くさいウソップは一時離脱させられてしまったという事実)。そういう世界は気持ちいいけどさ、なぐさめてくれるけどさ、読者はこの世界にいつまでもいたって、現実に立ち向かえないよなーと思ってしまうのでした。あのマンガは一切の弱さを許さず、観念に殉死せよといってるようにしか見えないんだもの。

今の子たちのしんどさって、どうしてもわたしには甘えてるようにしか思えないんだけど(豊かになって恵まれてるんだよね、いいか悪いかはわからんけど)、ナナはやさしく答えを示唆してくれるだけマシなのかな。弱さや痛みまでも包含してくれるところがやさしいのかな。ワンピの世界みたく、信じていればなんとかなる!としか思えないのならこわいよね。強いやつしか生き残れない、弱ければ脱落しなきゃいけないのかってことになるのか。結局フィクションをフィクションとしてとらえられてないんじゃないのか。なんつうか、結局自分のことしか考えてない、自分しか見えてない、自分だけの世界に閉じこもりがちなんじゃないのか、と思ってしまう。
わたしは別にフィクションの中に答えを求めてはいないし、フィクションの世界にまでリアルな痛み持ち込まれるのがもうしんどいので、ナナは受け付けないんだろうなー*1。で、ワンピみたいなわかりやすい世界が気持ちいいんだろうな。だってフィクションなんだもん。
わたしも思春期の世代的にはドラゴンボール世代だけど知ってるのはアニメだけなので、それほど内容を熟知してるわけではないんですけど、この違いはなんだろう? 基本的に悟空が強くなる!ていうだけが核になっていて、仲間とか絆とかとっぱらったところにあんのかな。

若い子が「汚いオトナにはなりたくない!」と潔癖にして切実な願いを抱いたとしたら、そこでできることは「いつまでもコドモにとどまる」「さっさと"汚くない"オトナになる」ことで、前者が『ワンピース』で後者が『NANA』なんだなあと思ったりします。どっちが現実に対して有効か……どっちが本当にしたたかで、タフで、"強い"のか。考えればわかるよね。

ナナはもう読み進めてないけど、あのひとたちは汚くない大人なんですかね? わたしなんかはあんな大人でえーのか、と疑問だけどなあ。痛みや弱さときちんと向き合って、克服しなくてもいいから共に抱えて生きていくことは大切だと思うけど(ご近所物語の最後がこんな感じのモノローグで終わってたような)。

るろ剣

るろうに剣心―明治剣客浪漫譚 完全版 (01) (ジャンプ・コミックス)メロマイさんのお話の核はナナとワンピにあるのでるろ剣の話はべつの切り口で、つうか俺ん中でるろ剣は別格だから、しぬほどすき。バイブル。もう10年前ですね、思春期まっただなかに読んでた。入口は水曜19:30からのアニメでした。♪おもいではーいーつーもきれいだけどー*2 原作も妹とだだはまり(覚えてる台詞が会話でいきなり出てきたりする)まぁるろ剣のうぜえ思い出語りは検索結果(**)から見ればいいんじゃないかな(一見関係ない話題にもふつーに出てきてるあたりたまらなくうざいよね) 好きすぎて以降の作品がどれだけうーんと思っても応援したいくらいです。ずっと言い続けてるんだけど少年漫画という枠にとらわれずに描きたいもんを描いてほしいんだけど、今はそれについてけるかどうかちょっと不安。
悩むところ見るなら悩ましい男前の方がいいので惹かれるんでしょうねー(所詮はキャラ萌えですよ)。この漫画は強さの裏側にある弱さや苦しみや贖罪と戦ってるところがいいんだろうな。ナナもこうなのかしら、やっぱ思春期に読んだってのと、時代が違うっていう差かしら。
わたしOVA編は全然見てないんだけど、Wikipedia見てるかぎりでは、星霜編はとっても見たくない感じですなあ、基本ハッピィエンドでしょ!て思うんで。けどああいう作りをワッキーさんが許した?懐がすごいな。完全版まで買い揃えてないけど、Wiki見てたら奇数巻だけは買おっかな、て気がしてきた。あとアレですよ、弥彦の逆刃刀よね・・・!

*1:働きマンとかもドキュメンタリーみたいでダメだった・・・全然はげまされない

*2:そばかす